父の日に
今年は梅雨入りが早く、雨の日が続いていますが、色とりどりの大輪の紫陽花がひときわ輝き、心を晴れやかにしてくれています。今年は大雨による被害がないことを祈るばかりです。
6月20日は父の日です。珈琲店を営む私共は、父の日と母の日に社員共々、感謝の手紙を書くことにしています。
私の父は21年前に他界しましたが、その年に書いた手紙には、記憶もおぼつかない幼い頃から、大人になるまでの父との思い出をたどり、感謝の言葉を綴りました。
その手紙を父は何度も読み返していたと、母から聞きました。父に感想を聞きたくて、「どう思った?」と聞くと、照れくさそうに「昔のことをよく覚えているなと思ったよ」と答えてくれました。
父からは一度だけ「ご招待ありがとう、走り書きごめん!」という手紙を手渡されたことがあります。
22年前、当店のオープン10周年を記念して、講演会と祝賀会を主催し、両親を招待した時の感想を書いてくれたものです。
「才覚に満ちたプランによるアイデア交りの進行は笑いと共に楽しいものでした。この日までの企画と準備は、想像以上のご心労のあったことと、思いを寄せずにはおれません。報われたものは非常に実のあるものでしょうが、今日あるのは皆様の諭しと励ましと協力があったことを充分に受け止め、今後も確かな歩みを続けることを祈るばかりです。
従業員の方々も一心同体、より盛りあげようと懸命に働いて下さる姿に頭が下がる想いです。あなたたち夫婦は幸せ者だよ」
と、1枚の紙に書かれていました。
「周りの方の支えに、より感謝すること、日々一所懸命働いてくれる社員に、より感謝すること」という言葉を、翌年亡くなった父からの遺言のような想いで受け止めています。
書を嗜んでいた父は、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の詩を書いて額に入れて3人の子供たちに残してくれました。寡黙な父は「欲はなく、決して怒らず静かに笑っている」という詩の中にある人物像そのままの人でした。
父はいつでも私のそばにいて「いいよ、いいよ」とすべてを包み込む懐の広さを教えてくれているようです。
今年は久しぶりに父の日に手紙を書いてみようと思っています。
ありがとうございます。
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