団子づくり体験
大隅半島の高隈町に住むTさんから、年に数回ヨモギ餅が届くようになって10年近くになります。昨年の秋、香り高い三枚の細い「けせんの葉」に包まれた、卵を細長くした形のヨモギが入った「けせん団子」が送られてきました。
葉をそっと剝がすと、中にあずきが入ったヨモギ団子。マッシュしたサツマイモも入っている。口にすると、サツマイモとヨモギと小豆が上手くマッチしていて、ほどよい甘さがなんとも言えない。私はすっかり「けせん団子」の虜になってしまいました。
「ヨモギの葉がたくさんあったから」「小豆を友達にもらったから」と言いながら、Tさんは、いとも簡単に作ったかのように言ってのけます。
世にも美味の団子はどのように作っているのか見てみたい、一緒に作ってみたいという思いが強くなり、春分の日が過ぎたころ、夫と共に出向くことにしました。
Tさんとの縁は、三年前に亡くなった彼女の伴侶が、私の夫の高校時代の恩師であることから始まった長い付き合いです。
神社に隣接しているTさんの自宅は、裏に竹山があり、眺めのいい高台にありました。
Tさんはすでに、けせん団子の下ごしらえをほとんど済ませてあり、私たちは、きび糖が入った米粉に、湯がいてあるヨモギと小豆を混ぜるところから体験させてもらいました。けっこう力仕事です。がたいがいい夫も柔らかくなるまで時間をかけ必死に混ぜています。
私は、混ぜた具を、手のひらで丸め、細長い小さな三枚のけせんの葉で包み込む係です。要領を得たら楽しくなってきました。
二十分後に蒸し上がり、蓋を開けると 甘い香りが漂ってきました。
蒸し器の中では、ぴかぴかに光る緑色の団子が葉の奥から覗いているのです。約六十個の団子を取り出し、広い竹ざるに並べました。手間をかけて出来上がり。
作った団子と、前日にTさんが作ってくれていた赤飯と煮しめ料理を車に乗せ、実家から帰るような想いでTさん宅を後にしました。
「会いたいと思う人に会いに行きたい、できるだけ早く」と最近ひしひしと感じることです。
大好きな団子をほおばりながらTさんと楽しい時を過ごせたことの満足感に満たされています。
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