「机と私」
今年の夏は猛暑日が続きましたが、時折吹き抜ける秋の風が心地よく感じられます。
先日(7/24)の南日本新聞の「かすり随筆」に私が書いたエッセイ「机と私」が掲載されました。
父の手作りの机のことを思い出して書いたものです。読まれた方から、亡くなったお父様を懐かしく思い出した、自分のお孫さんに机を作ってあげたことがある、じーんとした、心が温かくなったなど、数多くの感想をいただきました。
拙い文章ですが、ここで改めて紹介させて頂きます。
『机と私』
「3人の子どもが小学校に上がるのを記念して、父は自分の手で机を作ってくれた。
私の机が出来上がった時は、姉や兄と3人一緒に机を並べて座ることがうれしくて、飛び跳ねて喜んだものだ。引き出しが二つある文机だった。学校から帰ると、この机の前に座って宿題をしたり、本を読んだりしたものだった。
私が高学年になると、父は机の脚をつけ足し椅子も作ってくれた。長く使ううちに、机の上には傷や落書きがついて汚れてしまったが、愛着があった。
姉が高校の寮に入ると、私と兄の机は並んで置かれた。几帳面な兄の机の上には何も置かれておらず、私の机の上にはいつも乱雑に本が積まれていた。母から「どちらが男か女かわからないね」とたびたび言われたが、まったく意に介さなかった。
成長して家を出て、結婚してからは、リビングのテーブルが机代わりになった。
ある日、イベントの木工品コーナーで、手仕事の温かさを感じる机と椅子を見つけた。どこからか「これですよ」と声がしたような気がして即購入決定。
机の上には好きな本を一冊だけ置いていいと自分に約束した。昔より成長したかもしれない。父が作ってくれた机は、高校卒業後、どうしてしまったか記憶がないが、きっとだれかが使ってくれただろう。
新しい机に向かうと、亡き父のぬくもりが伝わってくるようだ」
初めての投稿でしたが、文章を書くことの喜びが芽生えたような想いです。
残暑厳しい折、どうぞご自愛下さいませ。
ありがとうございます。
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