メアリーのブログ「スキップして!」

鹿児島県薩摩川内市、自家焙煎珈琲店「珈琲倶楽部船倉」のオーナー、メアリーのブログです。

エッセイコンテストの賜

_DSC0200.jpg 多くの方の協力により「第7回珈琲のある風景エッセイコンテスト」を終えることができました。コンテストの主催者として、思いもよらない贈り物を戴くことがあります。審査委員の先生方や入選者との交流もそのひとつです。また「入選したことで人生が変わりました」という言葉を聞くこともたびたびで、良きことへのきっかけになれたことに喜びを感じています。
 先日、宮城県気仙沼の感王寺美智子さんが夫君を伴って当店に来られました。感王寺さんは、昨年の第6回エッセイコンテストで入選された方です。彼女の作品は「コ―ヒーは各停列車に乗って」というタイトル。
関東大震災の復興職員の夫君とともに仮設住宅で暮らす感王寺さんは4年前に患った乳がん治療のため、月1回の東京への通院を強いられていました。温かいうちは電車の旅も楽しめましたが、寒くなるとだんだん辛くなります。布団の中でべそをかいていると、お茶もいれたことのない夫君が、淹れたての珈琲を水筒にいれ、「湯たんぽだよ」と言って布団の足元から差し入れてくれました。そのとき「ごめんな、苦労かけて」と、結婚以来初めて聞く言葉をなげかけてくれたという、心が温まる夫婦愛の作品です。
 入選通知が届いた時、「仮設住宅の方々が自分のことのようにハガキに向かって『ありがとう、ありがとうございます』と、喜んでくださいました。選んで下さった方、一緒に喜んで下さった皆さんの気持ちを大事に、思いやりをもった生き方をしてゆかねばと思います」というお便りをいただきました。そして最後に「鹿児島出身の夫もとても喜んでいます」と言う文を読んで、「もしかしたら、会うことが出来るのでは。お会いしたい」と思い続けていました。
 その後、フェイスブックで友達になり、感王寺さんの近況を知る機会が増えました。新潟にお住まいの高校教師のお父様に手紙を書くと、必ず添削をして返されたというエピソードを聞き、環境にも恵まれていたのだと納得しました。文章に厳しいお父様も入選した珈琲エッセイをとても褒めてくださったそうです。また他のエッセイコンテストでも数多く入選され、活躍されているようです。
 一年過ぎて、お会いする機会がやってきました。感王寺さんの第一印象は、闘病中とは思えないほど、力強く、明るい方でした。また薩摩隼人のご主人はやさしさが体中から滲み出て包容力のある方のようにお見受けしました。初対面でしたが、昔からの知り合いのような想いが湧き出てき、暖かい気持ちにさせてくれました。
 心のこもった作品を読ませていただいたうえにご本人にもお会いできるなんて、これもエッセイコンテストを開催させていただいた賜です。これこそが珈琲が取り持つ縁なのでしょう。私の中の珈琲のある風景がまた広がっていきます。
ありがとうございます。


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